東京自慢と隠れた名所案内
たとえばロンドン、パリ、ニューヨーク―――伝統、洗練、野心という、それぞれまったくちがう気配をもちながら人をひきつけてやまないキャピトル・シティに共通するものとはなんだろう。町をつなぐ川、老若が憩う公園、あまたのレストラン、都市を見おろす塔、この4つがすぐに思い浮かびはしないだろうか。
東京には、この全部がある。
川といえば隅田川。甲州、武州、信州の境にある甲武信ヶ岳に源を発する荒川が、北区・岩淵水門から隅田川となり、8区を縦断して東京湾に注ぐ。さらに日本橋川、神田川など小河川や運河が張りめぐらされ、埋立によって日々姿を変える海岸風景を加えれば、東京はまさに水の都である。森といえば皇居。広大な緑地の一角にある江戸城天守閣跡や大奥跡は今も見学可能で、ここに明治神宮、新宿御苑、浜離宮や旧邸宅庭園を数えれば十指に余る。東京の食の絢爛多彩は言うに及ばず、塔はといえば高さ333m、西の東京タワーと、再来年春には高さ634m、東の東京スカイツリーが並び立つ。
『サライ』3月号は、私たち編集部にとって“わが町”である東京の大特集。この街が大好き、という大勢の先達の言葉を集め、実際に“東京名人”の方たちに導かれながらいろいろな街を歩いてみた。すると、まるごと1冊90ページ、その全編を通じて水、森、美食、塔、4つの魅力がたしかに響きあっていた。
さてこの場を借りて、雑誌では触れられなかったお薦めの場所をいくつか紹介したい。
まず、東京の水景色を楽しむなら、『東京都観光汽船』の水上バスと観光船を利用するに如くはない。隅田川から東京湾内まで多彩な航路を持ち、水面から見上げる、ひとあじ違った風景を堪能できる。
●『東京都観光汽船』
http://www.suijobus.co.jp/index.html
TEL0120・97・7311(9時30分~17時30分)
ランチやディナーを食べながら、ゆったりと船上での時間を過ごすなら、『シーライン東京』が運航するシンフォニー・クルーズに乗ろう。海を周遊する洋上レストランは日の出桟橋の発着。ランチクルーズ:11時50分~14時 、アフタヌーンクルーズ:15時~15時50分、 サンセットクルーズ:16時20分~18時20分 、ディナークルーズ:19時~21時30分 の4便が、毎日運航されている。
●『シーライン東京』
http://www.slt.jp
TEL03・3798・8101(9時~20時)
JR山手線・原宿駅から10分ほどのところには深い森がある。明治神宮の鳥居をくぐって参道を歩くと左に分ける道があり、その先が『明治神宮御苑』。鬱蒼とした森の奥に池があり、鷺の姿も見られる。6月、池畔に菖蒲が咲き誇り、花を愛でる人や写真愛好家でにぎわうが、この森の素顔が見られるのは、なんといっても平日の昼間である。池のほとりのあずまやで清々しい樹気を浴びていると、とてもここが渋谷と新宿のまんかにあるとは思えない。
●『明治神宮御苑』渋谷区代々木神園町1-1 明治神宮
http://www.meijijingu.or.jp/
TEL03・3379・5511
3月から10月:9時~16時30分、11月から2月:9時~16時 無休 入園料500円(小・中学生200円)。

本誌では紙数が足りず、紹介できなかった美味処が、東京スカイツリーの足下にある。知る人ぞ知る『遠藤利三郎商店』だ。オーナーの遠藤誠さんは日本輸入ワイン協会の事務局長を務めるかたわら、「日本ワインを愛する会」事務局長も兼務する。今日隆盛をむかえつつある良質な国産ワインの普及に獅子奮迅する縁の下の力持ちである。古風な店名は遠藤さんの実家である味噌問屋の屋号から名づけられた。日本ワインからヴィンテージワインまで品ぞろえは豊富。フランスの3つ星レストランなどで修業を積んだシェフが、工夫を凝らして創るアラカルトとのバランスはすばらしい。田中肉屋さんのお肉のパテ850円、フランスアルザス地方のココット鍋「ストウブ鍋」などが評判で、入荷があれば、子羊のモモ肉をまるごと一本焼き上げるサプライズ・メニューもある。
●『遠藤利三郎商店』
墨田区押上1-33-3 TEL03・6657・2127
18時~24時(L.O.23時) 日曜休 予約が望ましい
高いところにのぼりたがるのはテントウムシばかりではない。展望台のない塔に苛立ち、エレベータがついていればのぼって見おろしてみたくなるのが人情というもの。JR浜松町駅に直結する『世界貿易センタービル』の展望台から見る夜景は、刻々成長する大都会の現在を、落ち着いた雰囲気のなかでゆったり観察できる隠れた名所である。東京タワーから見る夜景ももちろん素晴らしいが、肝心のタワーが見られない。ここからは、折々のライトアップで姿を変える東京タワーはじめ、新しいビルや海景色など、360度の展望を楽しみたい。展望台からの眺めは高すぎず低すぎず、羽田に降りる飛行機の着陸寸前の風景のように、どこかSF的で不思議な浮遊感がある。
●『世界貿易センタービルディング』
http://www.wtcbldg.co.jp/facility/seaside/index.html
港区浜松2-4-1 TEL03・3435・6026 通常営業時間10時~20時30 分(受付時間 20時まで)
※夏季およびクリスマスは延長となる場合があり。 大人:620円
2012年春の完成を目指し、工事も佳境に入った東京スカイツリー。ダムや大型架橋など、国家プロジェクト級の工事は人里はなれた場所で行なわれるため、人の目に触れにくい。ところが自立式電波塔として世界第一位のこのタワーは、その進み具合が目の当たりにできるからうれしい。工事現場が川に面し、対岸から見られるため、通行や立ち入りの制限がほとんどない。また塔の裾をシートや金属板で覆っていないため、足元からてっぺんまで見通すことができるのだ。ただし、ふつうのカメラでは被写体が近すぎて1画面ではおさまらないから、三脚を使用して2カットを合成するしかないかもしれない。ちなみに本誌64ページ掲載の写真は、レンズそのものが140度ぐるりと回るワイドラックスというカメラを縦に据えて撮影した。
(編集部・井本一郎)
東京には、この全部がある。
川といえば隅田川。甲州、武州、信州の境にある甲武信ヶ岳に源を発する荒川が、北区・岩淵水門から隅田川となり、8区を縦断して東京湾に注ぐ。さらに日本橋川、神田川など小河川や運河が張りめぐらされ、埋立によって日々姿を変える海岸風景を加えれば、東京はまさに水の都である。森といえば皇居。広大な緑地の一角にある江戸城天守閣跡や大奥跡は今も見学可能で、ここに明治神宮、新宿御苑、浜離宮や旧邸宅庭園を数えれば十指に余る。東京の食の絢爛多彩は言うに及ばず、塔はといえば高さ333m、西の東京タワーと、再来年春には高さ634m、東の東京スカイツリーが並び立つ。
『サライ』3月号は、私たち編集部にとって“わが町”である東京の大特集。この街が大好き、という大勢の先達の言葉を集め、実際に“東京名人”の方たちに導かれながらいろいろな街を歩いてみた。すると、まるごと1冊90ページ、その全編を通じて水、森、美食、塔、4つの魅力がたしかに響きあっていた。
さてこの場を借りて、雑誌では触れられなかったお薦めの場所をいくつか紹介したい。
まず、東京の水景色を楽しむなら、『東京都観光汽船』の水上バスと観光船を利用するに如くはない。隅田川から東京湾内まで多彩な航路を持ち、水面から見上げる、ひとあじ違った風景を堪能できる。
●『東京都観光汽船』
http://www.suijobus.co.jp/index.html
TEL0120・97・7311(9時30分~17時30分)
ランチやディナーを食べながら、ゆったりと船上での時間を過ごすなら、『シーライン東京』が運航するシンフォニー・クルーズに乗ろう。海を周遊する洋上レストランは日の出桟橋の発着。ランチクルーズ:11時50分~14時 、アフタヌーンクルーズ:15時~15時50分、 サンセットクルーズ:16時20分~18時20分 、ディナークルーズ:19時~21時30分 の4便が、毎日運航されている。
●『シーライン東京』
http://www.slt.jp
TEL03・3798・8101(9時~20時)
JR山手線・原宿駅から10分ほどのところには深い森がある。明治神宮の鳥居をくぐって参道を歩くと左に分ける道があり、その先が『明治神宮御苑』。鬱蒼とした森の奥に池があり、鷺の姿も見られる。6月、池畔に菖蒲が咲き誇り、花を愛でる人や写真愛好家でにぎわうが、この森の素顔が見られるのは、なんといっても平日の昼間である。池のほとりのあずまやで清々しい樹気を浴びていると、とてもここが渋谷と新宿のまんかにあるとは思えない。
●『明治神宮御苑』渋谷区代々木神園町1-1 明治神宮
http://www.meijijingu.or.jp/
TEL03・3379・5511
3月から10月:9時~16時30分、11月から2月:9時~16時 無休 入園料500円(小・中学生200円)。

6月には菖蒲がいっせいに花をつける。1年のうちでいちばん森が華やぐ季節である。
本誌では紙数が足りず、紹介できなかった美味処が、東京スカイツリーの足下にある。知る人ぞ知る『遠藤利三郎商店』だ。オーナーの遠藤誠さんは日本輸入ワイン協会の事務局長を務めるかたわら、「日本ワインを愛する会」事務局長も兼務する。今日隆盛をむかえつつある良質な国産ワインの普及に獅子奮迅する縁の下の力持ちである。古風な店名は遠藤さんの実家である味噌問屋の屋号から名づけられた。日本ワインからヴィンテージワインまで品ぞろえは豊富。フランスの3つ星レストランなどで修業を積んだシェフが、工夫を凝らして創るアラカルトとのバランスはすばらしい。田中肉屋さんのお肉のパテ850円、フランスアルザス地方のココット鍋「ストウブ鍋」などが評判で、入荷があれば、子羊のモモ肉をまるごと一本焼き上げるサプライズ・メニューもある。
●『遠藤利三郎商店』
墨田区押上1-33-3 TEL03・6657・2127
18時~24時(L.O.23時) 日曜休 予約が望ましい
『遠藤利三郎商店』の内観。酒販免許も持つため、壁面には買って帰れるワインが並ぶ。
メイン料理の定番、イベリコ豚肩ロースのグリエ、グリーンマスタードソース1850円
高いところにのぼりたがるのはテントウムシばかりではない。展望台のない塔に苛立ち、エレベータがついていればのぼって見おろしてみたくなるのが人情というもの。JR浜松町駅に直結する『世界貿易センタービル』の展望台から見る夜景は、刻々成長する大都会の現在を、落ち着いた雰囲気のなかでゆったり観察できる隠れた名所である。東京タワーから見る夜景ももちろん素晴らしいが、肝心のタワーが見られない。ここからは、折々のライトアップで姿を変える東京タワーはじめ、新しいビルや海景色など、360度の展望を楽しみたい。展望台からの眺めは高すぎず低すぎず、羽田に降りる飛行機の着陸寸前の風景のように、どこかSF的で不思議な浮遊感がある。
●『世界貿易センタービルディング』
http://www.wtcbldg.co.jp/facility/seaside/index.html
港区浜松2-4-1 TEL03・3435・6026 通常営業時間10時~20時30 分(受付時間 20時まで)
※夏季およびクリスマスは延長となる場合があり。 大人:620円
本誌16~17ページの大扉にも使用した、世界貿易センタービルからの夜景。
昼間見る東京の全景も壮観。それほど込まないのでのんびりした時間を過ごせる。
2012年春の完成を目指し、工事も佳境に入った東京スカイツリー。ダムや大型架橋など、国家プロジェクト級の工事は人里はなれた場所で行なわれるため、人の目に触れにくい。ところが自立式電波塔として世界第一位のこのタワーは、その進み具合が目の当たりにできるからうれしい。工事現場が川に面し、対岸から見られるため、通行や立ち入りの制限がほとんどない。また塔の裾をシートや金属板で覆っていないため、足元からてっぺんまで見通すことができるのだ。ただし、ふつうのカメラでは被写体が近すぎて1画面ではおさまらないから、三脚を使用して2カットを合成するしかないかもしれない。ちなみに本誌64ページ掲載の写真は、レンズそのものが140度ぐるりと回るワイドラックスというカメラを縦に据えて撮影した。
(編集部・井本一郎)
東京メトロ半蔵門線、京成電鉄押上駅を出て北十間川を東に行き、西十間橋の上から見た「逆さツリー」
タワーの前を通る浅草通りからは、商店街の中から立ち上がるツリーが見られる。










